|
ワールドカップ決勝戦観戦記【パート2】
|
|
6月30日 横浜国際競技場
|
|
6月30日午後8時
キックオフ! 小雨で煙る横浜国際競技場、緑の芝が黄色と白の選手達を歓迎しているのがわかる。 右のエンドを取るドイツ、黄色で染まったスタンドを背に前半を守る守護神カーン。 キックオフの瞬間、今か今かと待ちわびた観衆が一斉に歓声をあげ、数え切れないフラッシュが瞬く。 前半はドイツが終始、押し気味に見えた。ドイツのディフェンダーラインは横一線にきれいに並んでいて下がる時も歩幅まで揃っているように見える。これが組織的なサッカーなのだろうか? その鉄壁な守備を擁するドイツをブラジルのロナウジーニョ、クレベルソン、ロナウドらが個人技で崩していく。 |
![]() |
![]() |
![]() |
|
しかし最終ラインを抜いてもそこにはベルリンの壁(古〜)カーンがいる。
現時点での得点王のロナウドもシュートのタイミングが合わず、カーンに阻まれてしまう。
カーンの叫び声が聞こえる。「ウオー!ウオー!」とディフェンダーに声をかけているのかそれとも自分の存在をセレソン相手に鼓舞しているのか。「俺様を抜いてみろ!」こう聞こえるようだ。
前半40分くらいか、クレベルソンのシュートにカーンは素早く反応し、ゴール前で飛ぶ。 ポストに跳ね返るボールの音がビーンと響くと共に一斉に頭を抱えるブラジルのサポーター達。 個人技ではブラジルにはかなわないのか、中盤での応酬はドイツが勝っているかのように見える。 積極的にタックルに行くドイツ、しかし目立たないがブラジルのキーパー、マルコスのファインセーブも見逃せない。瞬きするのがもったいない。まさに世界最高峰の大会にふさわしい競技パフォーマンスである。 前半終了のホイッスルがスタジアムを緊張感から解放する。ゲルマン魂が煮えたぎるカーンが吠える。 「よし、後半はドイツサポーターの前だ!」 |
|
後半、最初から飛ばすドイツ軍団。これでもかというくらい両サイドから徹底的に攻撃してくる。
しかし、ブラジルの守備も鉄壁である。真っ黄色の染まったスタンドを背にゴールを守るディフェンス陣。一つ一つのクリアボールにスタンドが揺れる。これがワールドカップなのか、これがサッカーの正しい見方、楽しみ方なのか。
いくつものシュートを防ぐ守護神カーンだがチャージされたのか手を痛めたようだ。
しかし、その数分後ロナウドのシュートを受け損なってしまう。
はじいたところを押し込まれついに均衡が破れブラジルが待望の1点を奪った。 ぐおおおおおおおお〜 な、なんだこの雰囲気は・・・・・ スタンドがまるで生き物のように揺れる。空気がバリバリと裂かれるように一気に自分がテレポーテーションしたような、今までとは違った場所にいるような感じになる。 もう、隣の淳一の話声さえわからない、自分が何を言っているのかさえわからない。 黄色い波がサンバのリズムで押し寄せてくる。 |
![]() |
|
そしてついにブラジルが2点目をあげる。リバウドが絶妙なスルーを見せ、ロナウドが決定的なシュートを放つ。
ドイツもノイビルが、シュナイダーが、途中から入ったドイツ初の黒人選手アサモアがセレソンのディフェンスラインを突破しようとする。絶対あきらめないのがドイツゲルマン魂だ。 なんとか1点でも入れてくれ。そう願っていたが虚しくもコリーナ主審がホイッスルを鳴らす。 歓喜に涌く黄色く染まったスタンド。ブラジル優勝の瞬間だった。 ゴールを背にうごかないカーン。ここからでは表情がわからない。 きっと悔しいに決まっているはずだ、キーパーならまだ現役を続けられるだろう。 4年後の自国開催でまた世界一の鉄壁な守備を見せてくれることを願うだけである。 ワールドカップ初のドイツ対ブラジル、この歴史的な一戦を生で見ることが出来て私達はなんと幸せ者なんだろうか。 |
![]() |
![]() |
![]() |
しかし、スポーツに敗者はかならずいる、表彰式では雲泥の差がある。 カフーにワールドカップが手渡され、銀の紙吹雪が宙を舞い、折り鶴が舞い降りてくる。 全てのスポーツの中で初めて世界一の瞬間をこの目に焼き付けた。 はたしてこの感動にまた出会えるのだろうか? 帰りの駅までの間、そのことばかり考えていた自分であった。 |
|
これが表彰式で舞い降りた鶴です
|
|
![]() |